好きな小説の話
- 作者: 吉本ばなな
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1998/06
- メディア: 文庫
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それにしても作中で人が死ぬのにこんなに柔らかい空気の物語ってはじめてだと思った。
暗い空気はまったく漂ってないんだけど、ひとりぼっちな人たちの話。
同じ方向を向いている人が集まったらどうなるか、きっと私もそんな人を捜しているんだと思う。
自分が今まで言葉に落とし込むことが出来なかった心の機微を温度もそのままに言葉に書き表されていてそれはそれは胸を抉られる気持ちなのです。
でも読み終わると、自分のこんな人生も悪くないのかなぁと思える。
この2冊はこれからも時折また読み返すんだろうな。
次点で好きなの。
当時映画化されると話題だったから読んだんだけど、思いのほかこれがよかった。
読んでいるとその場面ごとの湿度とか匂いがリアルに浮き上がってくる。こんなことってなかなかなかった。
角田さんは女性の強くて脆い、生物としてもうどうしようもない部分を書き出すのが上手だと思うんです。
紙の月も、八日目の蝉も、主人公はけしてやってはいけないことに手を染めているんだけどもしかしたらそれは明日の私なのかもしれない。
誰だって弱さとどうしようもない衝動を抱えながら生きているよね。
八日目の蝉に関して言えば、母は強し。この一言に尽きる。
他の作品も読もっと。
最近個人的にヒットだったの。
SFだと思って手に取って見たんだけど、それよりもテーマの一つである人間がどう他人と関わるべきか?という概念が非常に興味深かった。
作品中の近未来の世界では、人は個人(individual)の中に複数の分人(dividual)を持っていて、向かい合う相手やコミュニティによってその分人を変えて接するという考え方が浸透しているんだけど、この考えがすとんと自分の中で腹落ちした。
それまで自分の中で相反するキャラを共存させることに苦労していたんだけど、それでいいんだ、と思えてすごく楽になった。
長いからペース掴むまでちょっと大変だけど「わたしはこんな考え方です」という自己紹介代わりに人にオススメしたい一冊。
個人的に読んだ本とか映画にすぐ感化されちゃってテンション左右されるからその時々自分に合った本を探し出すのにすごく苦労する。
買ったはいいけどどうにも合わなくて全然読んでない本もあるし。
次のお気に入りを探すべく、旅はまだまだ続くのです。